COLUMUN
法律コラム

代表弁護士の水谷です。
世の中で注目されている時事問題について、法律に関わる部分で解説したいと思います。
たまには海外のお話を。
ということで、今回はアメリカの女優・ハル・ベリーさんのお話です。
元夫との間に離婚が成立し、裁判所で10歳の息子の養育費と面会交流の取り決めが成立したそうです。
双方が平等で監護を行う「交代監護」とは
ハルさん側が月〜水曜日まで、元夫側が水〜金曜日まで、そして各週末は双方が交代で監護するのだそうです。
いわゆる典型的な双方平等の「交代監護(子が父の家と母の家のいずれにも居住し、双方を行き来する形態)」ですね。
ここ日本でも、このような取り決めをすることは徐々に増えてきました。
特に、裁判手続を経ることのないご当事者間のお話合いでの離婚の際、特に共働きだったご家庭などで増えています。
代理人として、ADR(裁判外紛争解決手続)などでの仲介的な役割として、私たちが弁護士として関与することもあります。
とはいえ、「まったく平等!」の監護交代は、日本ではまだまだレアケース。
家庭裁判所での取り決め(調停)でここまで平等な監護の取り決めがされることは、日本ではほとんどないと言っても過言ではありません。
日本で「面会交流は1カ月に1回、数時間」が多い理由
一方で、面会交流について、ご相談者様などに「家庭裁判所では1か月に2時間が相場なんですよね?」と聞かれることがあります。
どこかのネット記事でご覧になったのでしょうか。
慰謝料などの金額と違って、面会交流の頻度に「相場」などはありません。
ただし、ご当事者間の対立がとても大きい時に、ぎりぎり合意できる範囲で、「1か月に1回、数時間」という取り決めがされることは少なくありませんでした。
・夫婦が対立してしまったら、子どもがそれに左右されないように、どちらかの親との生活に基軸を置く
・日常生活のペースが大切だから、そちらを中心にしつつ、もう一方の親とは、たまに会えるようにするといい
このような発想が根強いからだと思います。
「完全平等」とまではならないが、柔軟な取り決めも増えてきた
父と母の葛藤に子どもを巻き込まない、子どもの生活には安定が大事、ということは、当然のことですし、それ自体間違いでも何でもありません。
ただし、今回のアメリカのケースなどのように、「父と母とは平等!そして監護の量も平等!」という発想を持つことは、日本ではやはり後回しになりがちです。
しかし、そのような家庭裁判所でのお話合い、取り決めのあり方も、ここ数年、それなりに変化してきたように思います。
ハルさんのように、1週間を2分割して交代して、週末も隔週で…
なんていうケースはさすがになかなかないのですが、週末は一方の親のところで過ごすとか、長期休暇は長めに滞在するとか、柔軟な取り決めも増えてきました。
とはいえ、日本で「完全平等」を実現するには…、まだまだ課題は多いと思います。
離婚しても、両親が等しく子どもに携わるのが当然
もちろん、これはセレブリティのケースですし、両方の親が、子どもとの生活を実現するために仕事時間をコントロールできるか、できないとすれば、祖父母やベビーシッターさんなどの外部の力を頼めるか、など、外的な事情が密接にかかわるからです。
理念だけで実現できるものでないことはもちろんですし、海外至上主義はNGです。
しかしながら、次第に日本全体の考え方が柔軟になり、父母が離れ離れになったとしても、「両方が等しく子どもに携わるのが当然なんだ」となっていけばいいなと思います。
なお、冒頭のハルさんのケースは、ハルさんからお父さんのほうに養育費が支払われることになっています。
当然、ハルさんのほうが収入が多いからですが、なんでも月額基本8000ドル(約100万円)と教育費全額のほか、収入連動でプラスで加算もされるとか。
こちらも興味深いところですが、このお話はまた別の機会にしましょう。
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